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東京女子大学文理学部英米文学科を1987年3月に卒業し、同年4月に株式会社日本交通公社(現・株式会社JTB)へ入社。新入社員研修を経て、調査研究機関である財団法人(現・公益財団法人)日本交通公社に配属となり、1998年までは研究員、以降2012年まで主任研究員として観光計画や観光政策に関する調査・コンサルティング業務を担う。2009年からは同財団の「旅の図書館」の運営にも携わり、2011年からの1年間は副館長を務めた。2012年、淑徳大学経営学部観光経営学科の准教授として大学教員に転じ、2018年に同学科教授へ昇任、現在に至る。専門は観光地マーケティング論で、観光計画の策定、受け入れ体制の整備、誘客プロモーション、危機管理(BCP)など幅広い切り口から観光地の活性化を研究している。
観光地マーケティングを専門とし、観光地のキャッシュレス決済についても研究してきた朝倉はるみ教授(淑徳大学)に、海外旅行での現金とクレジットカードの使い方などについて伺いました。カードが使えない場面や、小額紙幣・コインの用意の仕方、観光地の楽しみ方についてもお話しいただきました。
仕事やプライベートで、あちこちに旅行に行きますが、国内の観光地でクレジットカードを使えない体験がたびたびあり、これが「観光地のキャッシュレス決済」の研究に取り組むきっかけでした。
私は、日常生活では、交通系ICカード(suica)とクレジットカードを使っており、現金決済はほとんどしていません。
この研究を始めたころは、日本国内でもかなりキャッシュレス決済が浸透していた印象がありましたが、国内でも有名な観光地、世界遺産のある観光地でも、特に土産物店と飲食店で、キャッシュレスに対応してもらえない体験をしたのです。
キャッシュレスは、旅行者にとっては大金(現金)を持ち歩かなくていいというメリットがありますが、観光地の事業者にとってはメリットはないのか、デメリットがあるとすれば、解決策はないのか、と考え、インバウンドも多い長野県白馬村をフィールドとして研究を行いました。
結果としては、土産物店や飲食店は事業規模も小さく、キャッシュレス手段であるクレジットカード等の手数料負担が大きいため、導入が進んでいないことが明らかになりました。
2020~2022年のコロナを経て、現金の接触を避けられるというキャッシュレスのメリットが認識され、またキャッシュレス企業によるキャンペーンの成果もあり、2023年調査の白馬村においてはキャッシュレス決済手段の導入率はコロナ前の2019年調査より20ポイント上昇し、特にQRコード導入率が7割を超えていました。
しかしながら、キャッシュレスによるお客様の支払い比率は50%と、事業者側のキャッシュレス決済手段導入率との乖離も確認されました。
「お店は導入しているのに、お客さんの半分は現金で払っている」というギャップ、意外でした。キャッシュレス化はお店が対応すれば終わりではなく、旅行者側の使い方も含めて進んでいくものなのですね。
2020~2024年度の5年間は、北海道から沖縄県まで全国を5エリアに分けて、市町村にゆかりの人物に関連する施設の実態について研究を行いました。
日本各地には、歴史の教科書には載らないし、大河ドラマにも登場しないけれど、その土地にとってゆかりの深い人、その土地にとっての「偉人」がたくさんおり、記念館でその人生や功績が紹介されていることがわかりました。
その研究を土台に、2025年度以降は、テーマごとにゆかりの人物に関連する施設の持続可能性についての研究を行っています。
2025年度は戦後80年という節目の年でしたので「戦前・戦中・戦後の総理大臣関連施設の周年における取組と来館者数の関係」と、大谷選手のアメリカ大リーグでの活躍もあり、野球への関心も高まっていることから、「野球選手関連施設の持続可能性」について、論文を書きました。
2026年度は、明治~昭和時代の外務大臣に関連する施設が、戦後周年にどのような取り組みをしたのかを踏まえた施設の持続可能性について研究を行っています。
スマートフォンにもキャッシュレス決済機能(クレジットカード機能、QRコード機能等)がありますので、スマートフォンがこれだけ普及している以上、カードに加え、スマートフォンによるキャッシュレス決済はかなり浸透していると感じています。
特にQRコード決済は、導入店舗の経費がクレジットカードよりも抑えられるため、「現金とQRコードのみ可」という店舗も見られるようになりました。
大阪・関西万博における全面キャッシュレス化は、万博側のメリットが、来場者のメリットより優先されたように感じました。
多様な来場者がいれば、決済方法も多様であるべきだったと思います。
1つのキャッシュレス決済が使えなかった場合、例えば、交通系ICカードの残高不足だった場合、他の方法で決済できるようにしておくことが必要です。
他のキャッシュレス決済(QRコードやクレジットカード)でもいいですし、現金でもいいでしょう。
スマートフォンによるキャッシュレス決済の場合も、充電切れや、うまくQRコードが読み取れない、といった不具合も想定されます。
キャッシュレス決済を導入する側も、バックアップ体制を整えておく必要があると思います。
先ほども少し触れましたが、クレジットカードの手数料が高いことが、中小事業者にとっては大きな問題なのです。
例えば、観光地の飲食店は、観光客ばかりでなく、地元住民も利用します。
そうすると、値段を「観光客にあわせる」ことが、その店にとっての「正解」とは限りません。
地元住民に高齢者が多い場合も、現金決済が優先されると思います。
また、白馬村でのアンケートでは、「手数料分を、商品価格の維持や値下げに反映したい」という意見もありました。
カードの導入は、観光地のお店にとっても、旅行者にとっても、メリットがあることは確かですが、「誰がお客様なのか」「お客様が、どのような決済方法を望んでいるのか」という視点も、お店側は忘れてはいけないでしょう。
インバウンド(外国人旅行者)が多い観光地では、消費機会を逃さないためにもキャッシュレスが進んでいると思いますし、全国チェーン店や宿泊施設では以前からキャッシュレスが導入されています。
また、若い経営者の場合も、自らが(消費者として)キャッシュレス決済に慣れているので、キャッシュレス決済の導入には抵抗はないと思います。
観光地の観光協会や商工会・商工会議所が、会員企業に向けて、キャッシュレス対応の講習会を開いたりして、キャッシュレスの導入を店任せ・企業任せにするのではなく、「観光地」という面で導入しようと努力しているところもあります。
単にお店が悪いわけではなく、手数料負担や客層といった事情があるようですね。逆に進んでいる観光地は、お店任せにせず観光協会や商工会が後押ししているという構造も興味深いです。
①好きなものから探す
観光地を決めてから、その中のどの資源・施設に行こうかな、と考える人が多いと思います。
例えば、ロンドンに行こう、では、ロンドンのどこに行こうかな、という順序です。
が、自分の好きなもの・こと・人をスタート地点として、それに関連した場所や施設を探してみる、という方法もあると思います。
自分の好きな映画作品のロケ地を巡る、映画の出演者の出身地や出身大学を巡るといった楽しみ方もあります。
②自治体・観光協会のHPをチェックする
私は、興味のある観光地があったら、まずその観光地のある自治体(市町村)と、その自治体の観光協会のHPを見ます。
地元が何をお勧めしているのかを最初に調べます。
そうすると、それまで全く知らなかった観光資源が見つかることもあります。
③AIを相談役にしてみる
また、最近はAIが旅行先を決める際の相談役としても活用されているようですので、自分の興味のあるもの・ことからつながる観光地を見つけることもできるのではないでしょうか?
小さなお店、あまり観光客が行かないお店では、現金しか受け付けてくれないお店もあると思います。
ですので、現金、それも小額紙幣は、用意しておいた方がいいと思います。
宿泊施設のチップも客室に現金でおきますので、小額紙幣やコインは必要ですね。
両替する際に、できれば「小額紙幣を多めに」とか「コインも少し入れて」といったリクエストをしてみてください。
国内で外国通貨に両替する際は、コインは入手できないと思いますので、現地で一度現金を使い、おつりとして小額紙幣やコインを入手する方法もあります。
国外に旅行する際、盗難防止の意味もあり、多額の現金を持参する人はあまりいないと思います。
しかし、現地で保有現金を上回る金額のものが欲しくなった場合、カードを持っていれば購入することができます。
「その場でしか買えないもの」をあきらめなくていいのです。
旅行先で出会うものは「一期一会」だと思いますので、カードがあれば「人生で1度の購入機会」を逃さなくていいのです。
現金は、日本で3万円程度を両替しておけばいいのではないかと思います。
カードが使えない場合を想定しての「もしも」対策です。
現地でも両替はできますが、両替場所を探したり、レートを気にしたり、といったことは、結構ストレスになります。
慣れない現金を扱うのも大変ですので、現地ではできる限りカードを使うことをお勧めします。
現地通貨が余ったら、帰国前の空港で土産を買うなどして、使い切ってしまいます。
現金を超える金額のものを買うなら、現金+カードでの支払いもできます。
観光地のキャッシュレス化は進んでいますが、お店側の事情などもあり現金しか利用できない場所も多くあります。両替などの手間を考えると、クレジットカード支払いにした方が旅行を最大限楽しめそうですが、現金も準備しておくと安心でしょう。
インタビュー対象 | 朝倉はるみ 教授(淑徳大学経営学部観光経営学科教授/観光地マーケティング論専門) |
インタビュー実施日 | 2026年9月 |
実施方法 | インタビュー |
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